ちょっと古い記事だが、バックアップ関連の話題なので記述しておく。
ITmediaニュース:死のブルースクリーンからPCを救うiPodソフト より。
ノートPCがクラッシュした場合、データを復旧するには何を使うのがベストだろうか。あるIBMのエンジニアが使っているのはiPodだ。
IBMのUSA PartnerWorldカンファレンスで、スティーブ・ウェルチ氏はiPod上のソフトを使ってクラッシュしたThinkPadを復旧した。ソフトの名前は「One-touch Rescue & Recovery On Linux」。まだ発表されていないIBM製品だ。
ウェルチ氏は、このiPodベースのソフトを使えば、1時間程度でハードディスクを再構築して、電子メールやLotus Notesなどのデータにすぐにアクセスできると語った。「これは私にとって朗報だ」
(元記事:PC World | iPod defeats Blue Screen of Death)
要は外付けハードディスクから起動するバックアップソフトの話なのだが、そこにiPodとLinuxという組み合わせを持ち込んだところがポイント。
記事の内容に関して、「[N] ブルースクリーンからPCを救うiPodソフト」で以下のような言及がある。
「ハードディスクが完全にクラッシュした場合には機能しない」そうですが、復旧できる可能性があるという点でなかなか興味深いソフトと言えるのではないでしょうか。iPodを使うというのがユニークです。
もしかすると外しているかもしれないが、記事中の「同ソフト」が指しているのは、今回のiPod上で動作するバックアップソフト(One-touch Rescue & Recovery On Linux)ではなく、ベースになっているXpoint Technologiesのソフト、つまりIBM Rescue and Recovery (R&R)の方ではないだろうか。一つ上の段落で記述されているのはR&Rの機能だし。
これだけだとちょっと不親切なので追加記述。
通常だとR&RのプログラムはPC内のハードディスクに収められているので、ハードディスクが完全にクラッシュするとR&Rは動作しない。ハードディスクが動作しなければその中にあるR&Rは読み出せないからだ。
物理的な故障の場合、ハードディスクを新しいものに交換してから復旧させる必要があるわけだが、交換したハードディスクにはR&Rは入っていないので当然そこからR&Rを起動する事は出来ない。
このような時の為に、バックアップソフトには緊急用のレスキューメディアを前もって作成しておく機能が備わっている。R&Rでも同様で、起動可能なレスキューメディアをCD-RやDVD-Rなどに作成しておく機能がある。モノによっては外付けのUSBハードディスク自体を起動可能なレスキューメディアにすることができる。記事中のiPodによるリカバリーもこの応用で外付けの起動ディスクにしたのだろう。
ただ、iPodは外付けのデバイスとして利用できる場合でも、メーカーからは「iPod がディスクモードでハードディスクとして使用できる場合でも、起動ディスクとして使用することはできません。」というように説明されている。
とはいっても、既にiPodにMacOSを入れて起動ディスクに仕立て上げた人はいるようだ。
篠田耕一のWebsite:iPodを起動ディスクにする
はい、須山歯研です!:iPodの起動ディスク化(12/2、12/5、12/6を参照)
上は上手くいった例だが、逆にトラブルになった人もいるようだ。
やっぱりOSXの起動ディスクにするのはやめておきましょう。
Future is mild:さよなら初代iPod
どうも第四世代以降のiPodではMacの起動ディスクとしては使えなくなっているらしい。
.sauce: iPodは僕の生活をどう変えてくれるのかの件について アーカイブ
※起動ディスクとして使えなくするなんて、iPodの可能性を狭めるだけでは?
が、いずれにしてもメーカーのサポート対象外の行為であることに変わりはない。これはiPodにインストールされるOSの種類に関わらず同じだろう。
One-touch Rescue & Recovery On Linuxが仮に無償で公開されるとしても、メーカー保証が無くなるのでは利用する事はためらわれるだろう。ここはやはりIBMとAppleが手をとりあって、公開の際には安心して使えるように正式サポートの対象として欲しいところだ。
ところで、One-touch Rescue & Recovery On Linuxは何故Linuxがベースなのだろうか?現在公開されているR&Rでは、起動ディスク上で動作するPre-OS環境(通常使用しているWindowsとは独立して動作させることが出来るOS)環境にWindowsPEが採用されている。WindowsPEベースでは復旧時の動作がいささか重いし、IBM Rescue & Recoveryのライセンス料以外にWindowsPEのライセンス料もかかる(ハズ)。もしかするとこのあたりもLinuxを採用する理由の一つなのかもしれない。
ライセンス料の問題がないLinuxベースなら商品の単価がさほど上がらないで済むので、iPod以外のハードディスクプレイヤーでも組み込みやすい。各メーカー間で上手く連携が取れれば、出荷時にバックアップソフトが組み込まれたハードディスクプレイヤーが登場してくるかもしれない。
音楽プレイヤーにPCのリカバリー・バックアップ機能がつけば、モバイル時にリカバリー環境を持ち歩く事が容易になる。普段使っている音楽プレイヤーが緊急時の復旧に使えるのは、バックアップが一般化していく事にも繋がるし、色々なメリットを生むように思う。
追記:iPodにLinuxをインストールする事はスラッシュドット ジャパン の記事などでも取り上げられたことがあるので知っている人も多いかと思う。いくつかの記事でもiPodLinuxとiPodOSとのデュアルブート環境を構築しているようだ。ただし、これはiPod自体でLinuxを動かすのであって、PC用の起動ディスクとしてLinuxを利用するのとは別。
関連記事:
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