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メールマガジンはスローなプッシュメディアから脱出できるのか

インターネットで読み解く!No.146「メールマガジン全盛期は終わった」の記事の内容について、StarChartLog @cocolog: メールマガジン全盛期は終わったより。

私の印象ではメールマガジンの停滞期は数年前から始まっていると思っていますが、全盛期が終わったことを数字で見せ付けられると「やっぱり」と思ってしまいます。メールマガジン発行スタンド側もそのことは認識しているのでしょう。melma!Blogはそういった動きの一環だろうと思います。

メールマガジンは、数年前からテクノロジーライフサイクル(『キャズム』参照)でいうところの「レイト・マジョリティー(後期多数採用者)」までいきわたって、あとの新規顧客は「ラガード(無関心層)」しかいない状態になっているということです。また『イノベーションのジレンマ』風にいえば個人ニュースサイトやウェブログのような破壊的イノベーションに脅かされていることもあります。あとは、メールマガジンが多すぎて選択すら困難になってきたことや、全文検索が実用的になってきたこともあるかもしれません。

ダイヤルアップ環境では最速のプッシュメディアであったメールマガジンだが、ブロードバンドによる常時接続が普及した今となってはその速度もスロープッシュになってしまった。メールマガジンは確かに現在もプッシュメディアだが、もっと速い速度で最新の情報を伝えてくれる携帯メールやRSSのシステムなどと比べれば、新しい情報を得るのに時間がかかりすぎる。それにもまして、常時接続環境では単にブラウザでニュースサイトなどチェックするだけでもメールマガジンより確実に素早く情報を取ってこれる。そういった状況の変化の中で、メールマガジンはWebと比べて速度の遅いメディアだと感じる人が増えた。このような状況変化によって、読者のメールマガジンに対する体感速度が変化させられたことがメールマガジンが衰退した一番の原因であるように思う。

プッシュメディアの特性として、数が増えすぎると単なるノイズになることがあげられる。購読数が増えすぎると似たり寄ったりの内容ばかりとなり、その結果読者にとってはどれを購読しようと考えるよりもいかに情報を切り捨てるかが重要になってくる。そういう動きの中で全体の購読数が減ってくることはまったく理にかなった動きといえるかもしれない。

もう一つ理由として大きいのは、メールマガジンには横の繋がりを作る仕組みがなかったことだ。メールマガジン自体、単なる広告リンクばかり載せるようになっただけで読者の役に立つ評価をしてリンクする事をしなかった為に、横の繋がりを作ることに失敗した。単なる広告リンクはWeblogで見られるトラックバックスパムと同種の印象しか与えられないものであったといえば分かりやすいだろうか。テキストベースのバックナンバーをただ公開するだけで、バックナンバー上にあるURLをリンク可能な形に再形成する仕組みが長らく導入されなかったことも、横の繋がりを妨げることになった。そしてgoogleが台頭してページランクが導入されるようになっても、外部へのリンクも外部からのリンクもないバックナンバーはランクの下位に甘んじることとなり、人の目に触れることも減っていったのではないだろうか。melma!がWeblog的なシステムを追加したのはこのことと関係しているように思える。

メールマガジンは各人のメールボックスにメールを配送してきたが、今考えてみるとメールボックス自体を発行システムが所有して、発行システムが発行するメールアカウントに直接アクセスしてもらった方がよかったのかもしれない。そうすれば少なくともスローなプッシュメディアになることはなかったはずだし、スパムメールとも無縁な読者生活が送れたはずだからだ。ちょうどGmailが1GBのメールボックスを提供するように、発行システムもメールアカウントを提供すればよかったのかもしれない。逆にいえば、今からそういったサービスを提供する発行システムが現れれば、それなりに評価されるようになるのではないだろうか。だが、本当はもう少し早くに気が付くべきだったのだが。

メールボックス自体を発行システムが所有する方式にはデメリットもある。読者がメールソフト上でアカウントの設定をする必要があることだ。アカウントの設定を行うのとメールアドレスを登録するのとでは、後者のほうが読者が感じるハードルは低い。そのデメリットを上回るメリットを提供できなければ読者が戻ってくることはない。

このようなシステムを使ってメールマガジンを復興させるとすれば、成功するかどうかは発行システムが提供するWebメールボックスに人工知能的な分類機能がつくかどうかにかかっているように思う。例えば、BloglinesのようなWeb型のRSSリーダ的なシステムにベイズ理論を利用したフィルタリングシステムを加えて、目的別に個別の記事を分類してくれる仕組みができると面白いのではないか。機能するかどうかは微妙だが、読者が読む前に記事の傾向を分類してくれるような仕組みがそろそろWeb上で提供されるようになってもいい頃だろうし、本来人間がコンピュータに求めているのはそういった仕組みではなかったのではないだろうか。

またGmailの広告にも見られるように、これらのメールボックス内のバックナンバーはデータマイニングの対象としても有効だろう。であれば、発行システムは企業側からみて喉から手が出るほどほしい情報をもつことが可能になる。分析した情報を企業に売る代わりに、読者に対しては人工知能による自動分類機能を持つメールアカウントやRSSリーダを提供する。こんな機能を実現する発行システムが現れてgoogleのGmailのライバルに名乗りをあげたら、意外と面白いことになるかもしれないと思うのだが、どうだろうか。

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追記1:Gmailを使ってメールマガジンを購読している方の記事。
Goodpic: Gmailとメルマガ、BloglinesとRSSフィードの新しい関係
Gmailのスパムフィルターで、スパムと認識されてしまうメルマガもあるらしい。メルマガに挿入されている広告をRSSでどのように実現するか?という観点も結構重要。

追記2:eNatural.org: メールマガジン全盛期は終わったより。

・メールマガジンが終わった

ではなく、

・メールマガジンの全盛期が終わった


とのご指摘。ごもっともです。

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