民あっての国家、民あっての民主主義
前回の記事にいくつかコメントやトラックバックをいただいたので、それに関して。
前述の記事の中では、追記として以下のように書いた。
もっとも、三人は現地入りした事自体に対する日本国内からの批判を真摯に受け止めるべきであろうし、また家族もそうすべきであろう。でなければまた同じ事の繰り返しだ。今後の政府の対応として望まれるのは、渡航自粛勧告がだされている地域へあえて渡航する場合の自己責任と、渡航時に日本国に身柄の安全確保を求めないことを記した宣誓文を書かせるなどの処置であろう。法律において完全に渡航を禁止することは法治国家としてすべきではない。そのような法律は、対外的に見てもまた国民から見てもとても危険な両刃の剣となるからだ。法律を定めるならば、あくまでも宣誓文の書面を書かせる事にとどめるべきである。
この追記、実は多少ならずとも自己保身的な文章となっている。非常に軽々しいとの誹りをうけるだろうが、以下のように訂正したい。理由は後述。
■訂正その一
三人は現地入りした事自体に対する日本国内からの批判をを
「三人は現地でも非常に危険であるといわれているルートを選択し、特に危険になった時期に現地入りした」事自体に対する日本国内からの批判をとしたい。理由は文中で出てくる「渡航自粛勧告がだされている地域へあえて渡航する場合の自己責任」がここにかかるからであり、「現地入りした事自体」では紛争地域でのNPO活動や紛争地域を取材するジャーナリズム自体を否定することになってしまうからである。
■訂正その二
今後の政府の対応として望まれるのは、渡航自粛勧告がだされている地域へあえて渡航する場合の自己責任と、を
今後の政府の対応として望まれるのは、渡航自粛勧告がだされている地域へあえて渡航する場合の自己責任、つまり「危険な地域において予想される危険から己の身を守る為の徹底した安全管理」に対する自己責任を求めることであろう。に修正。
つまりここにおいての自己責任とは、実際に捕われた場合の身の危険についてまで自己責任を求めるものではなく、「最低限の安全管理は必ず自分で行え」ということになる。理由は後述。
■訂正その三
渡航時に日本国に身柄の安全確保を求めないことを記した宣誓文を書かせるなどの処置
を削除。削除の理由だが「宣誓文を書かせるということは国家にとって都合の悪い情報をもつ者を積極的に見殺しにする手段を国家に与えることになる」というのが一点。これは前述の「実際に捕われた場合の身の危険についてまで自己責任を求めるものではなく」の理由でもある。また報道において、大本営発表だけでは国民にとって本当に必要な情報は決して得られないということでもある。
二点目はアメリカのパウエル国務長官の発言がきっかけとなる。
米国務長官「3人を誇りに思うべき」(TBS Newsより引用)
アメリカのパウエル国務長官はJNNの単独インタビューに応じ、人質となった3人について、「イラクの人々のために、危険を冒して、現地入りする市民がいることを日本は誇りに思うべきだ」と語りました。(中略)
さらに日本の一部で、人質になった民間人に対して、「軽率だ、自己責任をわきまえろ」などという批判が出ていることに対して、「全ての人は危険地域に入るリスクを理解しなければなりません。しかし、危険地域に入るリスクを誰も引き受けなくなれば、世界は前に進まなくなってしまう。彼らは自ら危険を引き受けているのです。ですから、私は日本の国民が進んで、良い目的のために身を呈したことをうれしく思います。日本人は自ら行動した国民がいることを誇りに思うべきです。また、イラクに自衛隊を派遣したことも誇りに思うべきです。彼らは自ら危険を引き受けているのです。たとえ彼らが危険を冒したために人質になっても、それを責めてよいわけではありません。私たちには安全回復のため、全力を尽くし、それに深い配慮を払う義務があるのです。彼らは私たちの友人であり、隣人であり、仲間なのです。」と述べています。
パウエル国務長官のこの発言は自己責任論を強調する日本政府の見方とは著しい対照ぶりをみせています。アメリカ政府は有志連合の結束に影響が出ることを警戒していますが、アメリカ人、民間人をターゲットにした誘拐事件が今後も頻発すれば、世論にも大きな影響が出るものとみられ、イラク情勢は予断を許さない状況が続きそうです。(16日 16:26)ニュースの映像(Real形式・WindowsMedia形式)
アメリカの中枢を担うパウエル氏のこの発言は、「民あっての国家である」ことを私に思い出させる言葉であった。実際に捕われた場合の身の危険についてまでも民の自己責任に押し付けるのは「民あっての国家」が取る行動ではあるまい。いざというときに民を救わずして何のための民主主義国家か。図らずも自らの主体性の無さを晒すことになったが、訂正したことで仮に何らかの批判を受けたとしても、このまま黙って結果として世の中が悪い方向に進むよりずっとましであろう。発言をするきっかけをいただいた方々に感謝したい。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 無料アンチウイルスソフトに関するレポートとリサーチ・リテラシー(2005.12.16)
- パキスタン地震被災者チャリティーコンテンツ(2005.10.20)
- ブログが動かす?総選挙(2005.08.11)
- 「自転車は車道を通るべからず?」という法律が出来る?(2005.05.17)
- 「東京裁判で日本の無罪を主張していたインドの判事」の名前(2005.04.24)
この記事へのコメントは終了しました。






















コメント